INTERVIEW SECTION01

音楽の世界に誘われた
スポーツ少年。

水泳、空手、テニス、卓球。 学生時代は、音楽とは無縁のスポーツ少年でした。 ターニングポイントになったのは、高校の新入生歓迎会。 バスケ部に入ろうとしていた私を、ある演奏が呼び止めました。 痺れるメロディーと軽快なリズムが一気に体に流れ込んでくる。 軽音部の演奏です。 心臓がバクバク鳴って、「自分もあのステージに立ちたい」と、気がつけば入部届を出していました。 あの演奏がなければ、音の世界に踏み入ることはなかったし、今の仕事なんて存在すら知らなかったと思います。 音には、人の心を揺さぶる力がある。 私の場合、それは人生を変えてしまうほどの影響力だったのです。
現在は、サウンドクリエイターの中でも、ゲームの効果音を専門に担当しています。 1つの作品のサウンドは3〜4人の少数精鋭で制作しています。 驚いたのは、入社1年目からゲームの花形であるバトルシーンの効果音を任せていただいたこと。 もちろん先輩にアドバイスをもらいながらですが、アトラスではたとえ新人であっても、自分が担当しているサウンドの決定権は自分にあります。 いい効果音とは何か。 正解がない仕事だからこそ、年次に関係なく、一人ひとりの感性が尊重されているのだと思います。

INTERVIEW SECTION02

キャラクターの心情を、
効果音で奏でるために。

これまでの仕事の中でも、そのことを強く意識したシーンがあります。 それは、ある女性キャラクターが亡くなってしまうワンシーン。
彼女のことを愛する男性キャラクターが寄り添って、その最期を見届けた時。 普段はあまり笑わなかったクールな彼女が、病室で男性に向かってニコリと微笑んだ場面がフラッシュバックする──。
私は彼女の微笑みにどんな効果音を付けるか悩みました。 男性にとって、その微笑みはどう見えていたのか。 どんな想いで彼女の顔を見つめたのか。 キャラクターの心情を読み解き、音に落とし込んでいく必要がありました。 まずは愛すべき女性の「輝き」を表現しようと、ウインドチャイムのキラキラした音、電子音のピカピカした音など、色々な音を試しました。 けれど、どれもしっくり来なかった。 一生の別れが訪れてしまったという「儚さ」を表現できていないと感じたのです。

INTERVIEW SECTION03

無意識の領域で、
人の心を揺さぶるもの。

悩んだ末にたどり着いたのは、「鈴が転がる音」でした。 鈴の音は、美しく澄んだ印象でありながら、雪のような寂しさを感じる描写にも適しています。 「輝き」と「儚さ」の両方を奏でることができるのは、この音しかないと思ったのです。 リリース後、ユーザーから感動した、良かったと言ってもらえたのはとても嬉しかったです。 ただ、「あの鈴の音が良かった」と言われることはありません。 むしろ、ユーザーが効果音の存在に気づくのは、違和感のある時くらいですから、誰にも気づかれない効果音こそが理想的だと言えます。 それでも人は、意識せずとも、赤子の産声を聴けば幸せを感じ、カラスの鳴き声を聴けば不吉と感じる。 無意識の領域で、確かに音は、ユーザーの心を動かしています。 感性でしか捉えられないものを、奥深くまで突き詰めていく。 それこそが、効果音の難しさであり、辞められない面白さなのかもしれません。 人の心を揺さぶる音を追い求めて、私は今後も効果音の現役クリエイターとして活躍し続けたいと思っています。

WORK
TITLES

SCHEDULEサウンドクリエイターの一日

10:00
出社
11:00
効果音制作
12:30
ランチ休憩
13:30
効果音制作
17:00
サウンドチームの定例MTG.
19:30
退社
既存の音素材を当てはめたり、
自分で録音したりします。
週に一度は必ず同期と
ランチに行きます。
各メンバーの業務進捗を
共有します。