塩田信之のDSJと神話世界への旅 最終回「デメテルと古代ギリシアの密儀宗教」
原型となる「大地母神」の存在
デメテルとペルセポネの物語は原型を辿っていくと、「母」を意味する「メテル」と「娘(処女)」を意味する「コレ」の「母娘」関係の概念がまずあって、「母」が肉付けされてデメテルとなり、「娘」がペルセポネに発展したものと考えられます。この関係性は、デメテルが母レアと同一視されたり、レアがその母である大地母神ガイアと同一視されたりする関係にも似ていますから、極端な解釈をするならすべて同一存在だった可能性があります。ガイアが大地となり、レアはモンスターばかり生んだことになっていますが、地母神としての役割を分担させたものかもしれません。
ウラノスやクロノス、ゼウスが妻だけでなく娘とも子供を儲けたりするのも、古代においては近親婚が多かったというだけでなく、役割分担の結果そうなったとも考えられます。例えば同じ密儀宗教のディオニュソス教ではディオニュソスをゼウスとデメテルの子とする考え方があって、オルフェウス教ではゼウスとペルセポネがディオニュソスの親と伝えられていたりする混沌とした状況も、元々女神たちが同一存在だったと考えれば不思議なことではありません。
そんな考え方を推し進めていくと、元々さまざまな土地で信仰されていた名前があったりなかったりする母神存在がいて、「ギリシア神話」として体系化されていく中で名前や役割が決まっていったようにも思えます。アフロディテやアルテミスも元は同じ、「偉大なる大地母神」の各地域に顕現した「アヴァター」だったという考え方です。となると、大元の存在がなんだったのか、という疑問が頭をもたげてくるわけですが、このあたりをちょっと意識しながら最後まで遊んでいただけると、より深く楽しむことができるかもしれません。
【DSJは10/26発売】新ダンジョン「嘆きの胎」で、主人公の前に現れ行き先を導く土居政之描き下ろし新悪魔・デメテル(CV.門脇舞以)。ギリシア神話の女神で、その名は古典ギリシャ語で「母なる大地」を意味する。 https://t.co/7MisKBQfVs #メガテン #DSJ pic.twitter.com/obQhpNN55X
— 『真・女神転生』シリーズ公式 (@megaten_atlus) 2017年8月6日
というところで、『DSJと神話世界への旅』はこれにて終了となります。またの機会がありましたら、その時に。
真・女神転生 DEEP STRANGE JOURNEY
対応機種:ニンテンドー3DS
ジャンル:RPG
発売日:2017年10月26日
CERO年齢区分:C(15才以上対象)