塩田信之のDSJと神話世界への旅 第2回「ギリシア神話における神々の王ゼウス」
ヘシオドスの『神統記』
ゼウスがギリシアの最高神となる上での立役者は、ホメロスと並ぶ古代ギリシアの詩人ヘシオドスです。その代表作『神統記』こそが、ギリシア神話の主神ゼウスが主神となるまでを明文化しました。
天空神ウラノスと大地母神ガイアが世界の構造そのものを作り、その子である時間の神クロノスがゼウスを含むオリュンポスの神々を呑み込んで天下を奪われることを阻止しようとしたけれど、難を逃れたゼウスによって打ち滅ぼされ、ゼウスを頂点とする新体制が造られる。そんなギリシア神話における『創世記』的な部分が描かれ、ゼウスを神々の王とする根拠となったのが『神統記』です。
ヘシオドスもホメロス同様伝説的存在に祭り上げられていて、謎の多い人物ではあるのですが、もともと農夫だったけれど大人になってから芸術の女神(たち)ムーサの声を聞いて詩の能力を開花させたと伝えられています。活躍した時代も正確に特定することは難しいのですが、ホメロスがいたころから100年後くらいの紀元前700年ごろとする考え方が主流です。ヘシオドス自身ホメロスの叙事詩を聞いて育ち、自身の作品として『神統記』や『仕事と日』をまとめ上げていくことでギリシア神話の基礎部分を構築しました。
『神統記』に書かれていることがヘシオドス自身が創作したものかどうかは立証する手段がありませんが、いくらか元になる叙事詩を耳にしていたとしても彼自身が創作した部分はあるものと考えられます。古代ギリシアという文化圏が形成されていく時期だと考えれば、宗教的あるいは政治的なニュアンスの「要請」があって作った部分があったとしてもおかしくありません。ギリシア神話の根幹を成す偉大な作品の作者であることは間違いありませんが、考え方によっては政治的な作為あるいはそれに利用された立場だったのかもしれません。
古代ギリシアの宗教に関しては、デメテルを取り上げる際に改めて見ていくことになります。デメテルは『真・女神転生DEEP STRANGE JOURNEY』の追加シナリオで重要な役割を持った女神でもありますので、お楽しみに。
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— 『真・女神転生』シリーズ公式 (@megaten_atlus) 2017年9月12日
真・女神転生 DEEP STRANGE JOURNEY
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ジャンル:RPG
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