塩田信之のDSJと神話世界への旅 第3回「ゾロアスター教の女神アナーヒター」
『真・女神転生 DEEP STRANGE JOURNEY』に登場する悪魔を、その悪魔が描かれた神話や、神話の成立した歴史から掘り下げていく連載コラム『DSJと神話世界への旅』です。『真・女神転生IV FINAL』公式サイトでの「真4Fと神話世界への旅」から引き続き、スーパーファミコン版『真・女神転生』の頃から関連する書籍等で悪魔や神話関係のコーナーを執筆してきたライター・塩田信之が担当させていただいております。
第3回 ゾロアスター教の女神アナーヒター
聖なる河の女神
あえて今回のサブタイトルにもしていますが、アナーヒターはゾロアスター教の女神とされることの多い存在です。しかし、ゾロアスター教といえばユダヤ教やキリスト教といった唯一神を信仰する一神教ではなかったかと思われる方もいるのではないでしょうか。確かに、ゾロアスター教は世界でも最初期の一神教と捉えることは少なくありません。その場合、アフラ・マズダーが唯一神にあたるわけです。
より慎重な見方をすると、ゾロアスター教は完全な一神教とは言えません。アフラ・マズダーには対称的な存在としてアンリ・マンユがいて、それぞれが天使や悪魔に相当する眷属を率いて長い間戦い続けているといいます。唯一神という概念には「この世のすべてを創造した存在」という考え方がありますが、アンリ・マンユはアフラ・マズダーと並ぶ悪の象徴にしてもう一方の創造神と呼ぶべき存在です。それを神と呼ぶか悪魔と呼ぶのかはまた別の問題になっていきますが、善と悪の二神がいる善悪二元論という考え方の上に成り立っています。善の側がアフラ・マズダーだけなら、アンリ・マンユは「悪魔」だから一神教と考えてもいいだろう、という考え方も成り立つわけですね。
真・女神転生 DEEP STRANGE JOURNEY
対応機種:ニンテンドー3DS
ジャンル:RPG
発売日:2017年10月26日
CERO年齢区分:C(15才以上対象)